書評:使いきる。有元葉子の整理術

料理研究家、有元葉子さんが2013年に出版したエッセー集です。料理の作り方は載っておらず、有元さんの生活哲学がまとまった一冊。

有元さんと言えば、ものに対する真摯でストイックな取り組みで有名。開発にかかわっているオリジナルキッチン用品「ラバーゼ」シリーズは、台所用品にありがちな辛気臭さが全くありません。かっこよくて、しかも使いやすい。

ありそうでなかった「黒いスポンジ」は、クリエイティブディレクターの佐藤可士和さんも愛用しているそうです。

本書の概要

  • 第1章 まずは「片付け」: 毎日きちんと片付けて、汚れをなめないのが肝心。片付けるときには、片づける順番は考えず、とにかく片っ端からがーっとがコツ。
  • 第2章 家事の「流れ」を作る: キッチンに出しっぱなしになっているものがないと、いつでも作業がスムーズに流れる。有元さんのキッチンスタジオでは、最後に水切りカゴすら拭き上げるそうです。
  • 第3章 掃除・メンテナンスの技術: 「台所はジム」と仰る有元さん。とにかくそこらじゅうを掃除して回っているそうです。美味しいお料理をたくさん作っているのにスリムなのは、よく体を動かしていらっしゃるからなのでしょう。
  • 第4章 使いきる=生きる: 有元さんの人生観。ものも、時間も、空間も「使いきる」。

心をわしづかみされたポイント

この本はどのページから読んでも、自分のあり方を考え直す良いきっかけになるものばかりですが、その中でも特に印象深いところが2つあります。

一つ目は、「だしは一度にとってしまいます(P72)」。

ひじきや切干大根、鰹節などの乾物は、一度に全部使い切ってしまったほうが美味しくいただけるし、使い忘れもない。

驚きなのは、有元流出汁の取り方です。写真入りで紹介されていますが、100g入りの鰹節を一袋全部使ってしまいます。普通の大きさの鍋の分量なので、鍋は鰹節でいっぱいです。

鰹節

私はさすがに100gを一度に使う度胸のない貧乏性なので、40g入りでやってみました。それでも美味しい出汁がとれます。

味噌汁も茶碗蒸しも、この出汁で作ると体に沁みこんでくるように美味しいです。やはり、出汁は料理の肝ですね。ずぼらな私が出汁をとれるようになったのは、この本のおかげです。

そして二つ目は、本書の最終部分「自分を使いきる」です。

”自分自身も使い切りたい。「充分に生ききったね」と思ってもらいたいし、自分自身も「充分に使いきった。はい、さようなら」と思える人生が理想です。” (P141)

 

いただいた命を、出し惜しみすることなく使いきる。疲れたとか、後にしようなんて言ってられないですね。とにかく徹底的に使う。人生に悔いなど残す余地のない、有元さんの潔さに憧れます。

 

The following two tabs change content below.
ジェーン

ジェーン

外資系企業で働くワーキングマザー。海外駐在と、外資での勤務経験をもとに、仕事に関わる英語の話、マインドセットの話などを中心に書いています。詳しいプロフィールはこちら