書評:魂の退社|会社を辞めるということ

アフロヘアで有名な元朝日新聞編集員・稲垣えみ子さんの作品です。

「50歳、夫なし、子なし、そして無職・・・しかし、私は今、希望でいっぱいである」と若干自虐的なキャッチが帯になっていますが、一橋大学卒業後、朝日新聞に入社され記者やデスク、論説委員、編集委員をつとめられた正真正銘のエリートです。

本書を読んで真っ先に思ったのは、稲垣さんはとても優しい人だということ。そして誠実な方です。彼女の人柄の良さがあふれ出た内容です。

ものすごく目立つアフロヘアですが、なぜか知らない人たちに好評なんだそうです。確かに珍しい。

稲垣さんはアフロだから声をかけてもらえるというようなことを仰いますが、髪型だけでなく、人柄の良さが伝わってみんなが声をかけたくなるのではないか?と思います。

本書の概要

  • プロローグ・会社を辞めるということ
  • その1・それは安易な発言から始まった
  • その2・「飛ばされる」という財産
  • その3・「真っ白な灰」になったら卒業
  • その4・日本てば「会社社会」だった!
  • その5・ブラック社員が作るニッポン
  • その6・そして今
  • エピローグ・無職とモテについて考察する

目から鱗だったポイント

エッセイなので細かい内容は書けません。興味がある方はぜひ、本書を手に取って読んでみてください。

私が心を奪われたポイントをいくつかご紹介します。

会社で働くということは、極論すれば、お金に人生を支配されているということでもあるのではないか。(P15)

洋服やバッグ、ランチなど会社に行くから遣うお金もある。通勤に便利なところにマンションを買うなんてのもある。働くこととお金を遣うことって、連動してます。

シーズンが終わると洋服屋に行き、いつものようにいそいそと買い物にいそしむ。(中略)そうしなければいけないんだと思い込んでいた。そういう「リッチ」な自分でい続けたかった。(P38)

こういう方法以外に自分を楽しませたり、満足させる方法を知らなかったと稲垣さんは言います。それすご~く分かります!

「電気はない」という前提に立って暮らすことでした。あるものを減らすという発想ではなく、そもそもないのだと頭を切り替えるのです。(P102~103)

「当たり前にあるもの」は実はないんだと思いました。お金、健康、友人、家族、環境、仕事 etc。全部本当は「有難いこと」なんですよね。

日本社会は、会社という装置を通じて信用を担保することで多くのことが成り立っていたのである。(P133)

子供時代は学校が受け皿。大人時代は会社が受け皿。そして高齢者になったら?そのうち本当に「姥捨て山」が復活してしまいそうなくらい不穏なムードが漂うのが、今の日本かも。枠からはみ出た人は要らないみたいな。

その先に、会社社会ではなく人間社会が現れるのだと思う。(P179)

そのために「会社依存度を少し下げよう」と稲垣さんは提案しています。

稲垣さんの「自分改造計画」

稲垣さんはもともとは、定年まで勤めあげるのが当たり前と思っている人だったよう。本当に仕事が大好きで、何より朝日新聞が大好き。

辞めたのも会社が嫌やだからではありません。仕事でお金を得て、それを遣って生活して、また働いてという自転車操業的生き方から脱出したかったのでしょう。

エリートで高収入ですから、それなりに遣う。でもまたお金は入ってくる。まずは「お金がなくてもハッピーなライフスタイルの確立」をしなければダメだと、自分改造から始めたのだそうです。

あなたは、休日に何をしますか?

私は特に趣味もなく、時間を持て余してしまうことがあります。時間を埋めるために買い物をしたり、食事をしたりという感じ。

それっておかしくない?と思っていた矢先に読んだこの本。まずは自分にとっての「ハッピー」を見つめ直すところから始めてみようと思います。

 

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ジェーン

ジェーン

外資系企業で働くワーキングマザー。海外駐在と、外資での勤務経験をもとに、仕事に関わる英語の話、マインドセットの話などを中心に書いています。詳しいプロフィールはこちら