書評:本当に必要なものはすべて「小さなバッグ」が教えてくれる

コートを試着するとき、あなたはどのようにしますか?

この本の著者・横田真由子さんは、アルバイト販売員としてGUCCIのお店に立ち、わずか3年で店長になった接客のプロ。その横田さん曰く、

❝「人に着せられること」に慣れているお客様は、腕を羽のように後ろ斜め下へ向け、下に降ろしたまま、こちらに背中を向けてくれる❞(P133)

なので、コートを着させやすいのだと。一流メゾンで試着をするようなお客様は、そんなところも違うんですね。

なぜこの本に興味を持ったのか?

以前勤務していた会社に、とても素敵な女性がいました。育ちが良く上品で、才色兼備。ある朝、通勤途中の彼女に会いました。

彼女は、ものすごく小さいジバンシィのサッチェルバッグを、ちょこんと持っていました。なんかそれがカッコよくて、潔い感じがしたのです。以来私もできるだけ荷物は少なくしようと努めてきました。

でも子供が生まれて以降、どうしても荷物が大きくなりがちでした。そんなとき書店でこの本を見つけて、あのサッチェルバッグを見た時の衝撃を思い出したのです。

本書の概要

  • Chapter1「ミニマムリッチという考え方」;1万円のバッグを10個買うより、10万円のバッグを1つ買って大事にするほうが上質な生活をおくれる。「何回使うか」「どんなシーンで使うか」「どんな印象を与えるか」の基準でコストパフォーマンスを考えて買おう。
  • Chapter2「お金をかけるにはポイントがあるー厳選アイテム10点」;靴やコート、時計など、自分の第一印象を決める大事なアイテムについて、お金をかけるべきアイテムと選定ポイントを教えてくれます。(「意外と目立つ❝髪留め❞に、気を遣っている人が少ない」という指摘に唸りました。)
  • Chapter3「エレガンスと美意識のみがき方」;手や爪、髪の毛など、肉体面のメンテナンスの重要性と、良いものを少しだけ持つことで得られる精神的な満足の大切さについて。「ながら動作」はエレガントの対極。
  • Chapter4「小さなバッグを持つ生き方」;「小さなバッグ」とは、有限で貴重な人生の象徴である。極端にいえば、本当にやりたいこととは?やりたくないこととは?自分にしかできない仕事とは?他の人に頼める仕事とは?などを突き詰めて考え、選択したからこその「小さなバッグ」である。

アルバイトから店長にまで昇進した理由

最後の章 Chapter4に、「ものを修復できる人は、人間関係も修復できる」という節があります。大切なバッグのちょっとしたシミやキズに気付き、すぐに手当てをする。

それがバッグのメンテナンスで大事であるように、良い人間関係を保つためには、ちょっとした気遣いと対応が大事なのだと、横田さんは仰っています。

湿気ないようにドライな部分も大切にしながら、「調子はどう?」と相手に興味を持つ、関心を払う。そういうことを大切にしながら、仕事をなさってきたそう。これが横田さんの違いなのだと思いました。

一番心を動かされたことば

“ 身軽であることは自由で、人と繋がる余裕があることです。” (P220)

震災被害のあった地域に住むマダムが、家の中に敢えて使わないスペースを作った。それは「いざというときに他の人に寝るスペースを提供するため」というエピソードを紹介し、締めくくっていることばです。

こういう余裕を持って生きたいです。

 

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ジェーン

ジェーン

外資系企業で働くワーキングマザー。海外駐在と、外資での勤務経験をもとに、仕事に関わる英語の話、マインドセットの話などを中心に書いています。詳しいプロフィールはこちら